日本郵便“不適切点呼”問題に「正直驚きはなかった」元ドライバーが吐露 運送業界にいまだ残る“飲酒”黙

「アルコールチェックさえ」引っかからなければ運転しても良いのか…

先月23日、日本トップの運輸企業「日本郵便」が記者会見を開いた。その目的は、全国3188局のうち、75%に当たる2391の事業所で行われていた「不適切点呼」の説明・謝罪だ。 【グラフ】アルコール検知器はトラックドライバーによる飲酒運転事故の減少に関係していない…? 今年3月、朝日新聞の報道によって近畿地方の8割の郵便局で点呼が適切に行われていない実態が判明。日本の運輸業界の管理体制を根底から否定するような不祥事に、運送業界からは怒りの声が噴出した。 「資金力・人材力のない中小零細が必死になってルールを遵守しているなかで、なぜトップ企業がこんな状態なのか」 「我々のような中小企業がやったら即営業停止レベル。基本の『き』であるルールすら守れない元国営企業に対して国は厳粛に処罰しないと示しがつかなくなる事態」 しかし、私は、長年運送業界の飲酒問題を注視してきた身として、今回の不祥事に正直それほど大きな驚きはなかった。かねてより、点呼で飲酒運転、交通事故が減るという運輸業界における「点呼神話」はとっくに崩壊していると感じていたからだ。(ライター/元トラックドライバー・橋本愛喜)

酒に甘い運送業界

アクセルひと踏みで凶器と化すクルマ。それゆえ、職業ドライバーには始業時と終業時、会社の運行管理者のもと、原則対面でその日の健康状態や睡眠状況、酒気帯びの有無などを確認する「点呼」を受けることが義務付けられている。 また、深夜の始業などで対面が難しい場合でも、後から電話やITなどで点呼を行う必要があり、ほとんどの運送企業が遵守している。 酒気帯びの有無は、専用の装置に呼気を吹きかける「アルコール検査」をして判断する。 一般車の場合、酒気帯び運転になる基準は「0.15mg/L」以上だが、職業ドライバーの場合はより厳しく、各現場では「0.00mg/L」という基準を定めているところがほとんどだ。 もし点呼時、この「0.00mg/L」が出なかった場合どうなるのか、現場のトラックドライバーに聞いてみると、 「長距離運行の担当を降ろされて地場(近場や地元を対象エリアとして行われる配送)になる」 「運行前(始業時)なら乗務停止し、4時間後に再度検査。運行後(終業時)なら即解雇。運転中に飲んでたということになりますから」 「万が一、荷主でのアルコール検査で飲酒運転が発覚した時は懲戒解雇です」 と、処罰は非常に厳しい。 こうしたことからも、職業ドライバーにおいては、酒とできる限り距離を置き、安全を担保する必要がある。それこそが、職業ドライバーが「プロ」と言われる所以だろう。

2025-07-22 09:48 点击量:2