欧博日本郵便に行政処分 今後のシナリオ ゆうパック事業を単体で売却する可能性「否定できない」(RKB

RKB毎日放送

配達員の「点呼」を適切に行っていなかった日本郵便に対し、国土交通省・関東運輸局が、貨物自動車運送事業法に基づき、貨物運送事業の許可を取り消す行政処分を行いました。 【写真を見る】使用できなくなる全国2500台のトラック・バン 物流ジャーナリスト坂田良平さん この処分で日本郵便は、全国の約2500台のトラックやバンを今後5年間、使用できなくなります。 何故このような不祥事が相次ぐのか、日本郵便の経営はどうなるのか物流ジャーナリストの坂田良平さんに聞きました。 ■第三者が体調不良を把握できない配達員「点呼」は重要なルーティン 運送業界の感覚ではあり得ない Q.今回適切に行われていなかった配達員の「点呼」とは、どのようなものでしょうか 物流ジャーナリスト 坂田良平さん 呼気によるアルコールチェックだけではなくて、ドライバーの顔色を見て健康かどうか、眠気を誘う薬、例えば花粉症の薬や咳止め等を飲んでいないか、車両を適切に運転できる状態にあるかどうかを運行管理者が確認します。あとは仕事に関するその申し送りをして送り出します。3分程度で終わるものです。 Q.何故、それができなかったのでしょうか。 物流ジャーナリスト 坂田良平さん 「通常業務が忙しく事業所での点呼まで手が回らなかった」と日本郵便は弁明していますが、ほかの運送会社も忙しさは変わりません。言い訳、点呼を軽視していたと言われても仕方がない状況です。ドライバーは運送業務に入ると、第三者が体調不良を把握することができないため、「点呼というルーティン」は非常に貴重な機会です。それをやらない、適当に手を抜くっていうのは、運送業界の感覚ではあり得ないことです。 ■過去にも不祥事なぜ続くのか Q.日本郵便は運送事業だけでなく保険契約についての不祥事や、年賀はがきの過剰なノルマ、郵便配達の放棄などのトラブルも過去、相次ぎました。根本的な原因があるのでしょうか。 物流ジャーナリスト 坂田良平さん NTTと比べると分かりやすいと思います。郵便事業や固定電話事業というのは、社会のインフラを支える「ユニバーサルサービス」と呼ばれています。ですがこの「ユニバーサルサービス」は、「既得権益のビジネス」であり、同時に色々な制約が国から課されます。NTTでは固定電話事業は縮小していますが、通信分野でいうと世界でも有数のテクノロジー企業になっています。一方で、日本郵便は新たなビジネスを生み出すことができていません。「郵便事業が赤字だ、赤字だ」ということに囚われ、従業員そして経営者もまた「うちのビジネスはうまくいかない」という「負のスパイラル」に陥ったと思われます。その結果として、世間の常識や倫理観との間に乖離(かいり)が生じたのではないでしょうか。

2025-07-22 09:48 点击量:2