欧博官网70回も撮り直しを要求されたことも…それでもトム・クルーズが従った「ハリウッドの偉大なる映画

 30代にしてトップスターの座に君臨したトム・クルーズが、なぜ監督の指示にひたすら従ったのか――。丸1年以上にわたり、70回ものテイクも黙ってこなしたその相手は、映画史に残る巨匠スタンリー・キューブリック。

 映画『アイズ ワイド シャット』制作の舞台裏を、アカデミー賞ウォッチャーのメラニーさんの新刊『トム・クルーズの真髄 40年間トップに立ち続ける理由』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

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映画『アイズ ワイド シャット』で共演したニコール・キッドマンとトム・クルーズ ©getty

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30代でトップスターになったトム・クルーズ

『ハスラー2』『トップガン』が公開された後のクルーズは、文句なくトップスターの座におり、俳優としての才能と共に、興行成績も見込める俳優だった。故に、この先の作品においては、クルーズをキャスティングすること=映画の製作にグリーンライトがともることを意味し、その目的でクルーズにアプローチする監督もいたに違いない。

 また、この頃すでにクルーズは自身の出演条件として、脚本開発会議への参加、現場での撮影照明準備立ち会いの権利や、作品の監督を誰にするか承認する権利を契約書に入れていた。

 クルーズが初のオスカーノミネーションを果たす『7月4日に生まれて』は、70年代にアル・パチーノ主演で企画開発され、その後とん挫して忘れられていた企画で、オリヴァー・ストーンから脚本を貰ったクルーズが出演を即決したおかげで、製作が進んだ作品だ。

 志願して行ったベトナム戦争で半身不随になり、帰国後反戦活動家になるロン・コヴィックという実在の人物は、作品の大半を車いすに乗ったまま演技しなくてはならない、難しい役どころだった。

『7月4日に生まれて』は、自身も帰還兵であるオリヴァー・ストーンにとって、『プラトーン』にはじまるベトナム反戦3部作の2作目という重要な作品である。製作前の会見でストーンは、「トム・クルーズの知名度によって、役柄がかすんでしまう可能性はあると思うか?」と訊かれ、「そう思ったら彼を主演に選ばない。この作品で君たちは、見た事のないトム・クルーズを見るだろう」と語った。

 撮影準備を共に進める中、ストーンにはクルーズの俳優としての才能が、世間の評価よりも高いと分かっていたのだろう。眠っていた企画が進んだのはトム・クルーズが出演を決めたおかげ、と話しているが、80年代後半のクルーズは既に、自分から協業したい監督に近づき、働きかけ、作品を動かせるまでのスターになっていた。

 作家性の強い大物監督も納得する演技を、徹底的なリサーチと努力で提供することが出来るという、彼自身の自負があったからこそのことだろう。

2026-02-15 07:26 点击量:3